一般社団法人日本楽譜出版協会 [Japan Association of Music Publishing]

最新情報

理事長および各委員会委員長より年頭所感と活動報告

<堀家康雄理事長&ネットワーク委員長&広報委員長(リットーミュージック)>

あけましておめでとうございます。

昨年中は協会活動にご協力いただきありがとうございました。

時代がデジタルに大きく動いていく中、昨年一年間も楽譜出版もまた非常に大きな変革の年となりました。特にICTを中心にして教育を巡り、著作権とその利用、また現行の権利制限のあり方に大きく変更を求める動きがございました。

教育での変革は学校教育の場だけではなく音楽教室、生涯教育、文化活動・趣味に至るまで個人や社会生活のなかで非常に裾野の広い影響を及ぼしてまいります。そのなかで音楽・楽譜の出版事業は、教育と切っても切り離せない重要な役割を担っています。

当協会は昨年、「教育利用に関する著作権等管理協議会」に正会員として入会いたしました。教育の場での円滑な著作物の利用と権利者への適性な対価の還元を目指して設立された同協議会は、今年予定されている著作権法の改正後、ICT教育の充実のため新たに設けられる権利制限規定とその対価となる「補償金」について利用者側である様々な教育機関との協議の窓口となるべく、運用、徴収、分配などさまざまな点について、教育に関わる権利者団体を横断するかたちで検討を進めています。今後その内容は会員社のみなさまに共有してまいります。

また耳目に新しいかと思いますが、演奏権を巡る問題も提議されており会員社のみなさまのなかでも出版事業への影響を懸念する声も伺っております。 古くて新しい「音楽と楽譜の著作権」の課題が今年大きく浮き彫りになり、今後インターネット時代にふさわしい音楽と楽譜の重要性と利用のありかたが、製作者・権利者・利用事業者、そして利用者まで巻き込んで幅広く議論されることを願っております。

その議論の中でプロの楽譜集団である当協会から積極的な発信がされ、理解が深まるような一年にしていきたいと考えております。若輩者ではございますが引き続きご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。


<木村一幸副理事長&販売対策委員長(シンコーミュージック・エンターテインメント)>

今年で5回目となる「楽譜・音楽書祭り2018~6月6日は楽器の日」は例年通り、5月15日から8月31日の期間で開催します。今回は、昨年末に実行委員会を立ち上げ実施要項を確定し、1月には参加者説明会を開催いたしました。前回より新設しました「ディスプレイ大賞」は70店舗を上回る楽器店・書店様にご参加いただき、一定の成果を挙げたと自負しておりますが、今回はさらに参加店様を増やせるよう企画の周知を徹底したいと考えております。

また今年は「2018楽器フェア」が10月19日~21日の期間で開催されます。現時点では具体的なことは決まっておりませんが、販売対策委員会としましては前回と同規模の販売ブースを出店して、会員各社の商品を広くプレゼンし且つ売上の一助となるよう努めたいと考えております。


<菅原敏彦著作権委員長(東京書籍)>

あけましておめでとうございます。

昨年度の著作権委員会は、7月に「著作権講座」、11月に「著作権研修会」を開催しました。いずれも「演奏権」を主なテーマとしましたが、音楽関係業界だけでなく、社会全体からも注目されているテーマであったため、「著作権講座」「著作権研修会」とも100名を超える参加者がありました。

今年度も夏に「著作権講座」、秋に「著作権研修会」を開催予定ですが、参加者から頂戴したアンケート、出版や著作権の最新動向などを勘案してテーマを設定したいと考えております。

今年度も、引き続き、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


<川元啓司制作委員長(カワイ出版)>

制作委員会は、主として楽譜出版社の編集部門のメンバーによって構成されています。出版社はもちろん編集・営業・内務など、さまざまな部門と人間によって成立していますが、他の業種と最も異なるのが編集部門であることは間違いありません。

どのジャンルの出版社であっても、そのカラーを決めるのは編集者です。それだけにやりがいがあると同時に、不断の研鑽なくしては存在意義が失われるのも編集者です。

私たちは楽譜の編集という、世間全般から見ればかなり特殊な仕事をしているだけに、ともすると自分の領域で守りに入ったり、周囲が見えなくなったりといった状況に陥ります。制作委員会は同業他社間の情報交換の場であるばかりでなく、単独では難しい、広く世の中に目を向けた情報収集・交換そしてそのフィードバックを目指しています。その活性化のためにも、若いメンバーの参加を大いに期待しております。

2016年に開かれたジャスラックとの意見交換会での問題提起に始まる楽譜配信に関する諸問題については理事会決議を経て2月13日ジャスラック送信部に要請書を提出いたしました。

一般社団法人日本音楽著作権協会御中

可視的利用に関する規定に関する要望書

一般社団法人日本楽譜出版協会

 音楽の可視的利用においては、歌詞を主とするもの、楽譜を主とするもの、またその組み合せによるものなど利用用途によってさまざまなものがあげられる。
 なかでも楽譜としての利用は演奏や練習のため繰り返し利用されることが大きな特徴であるが、譜面の作成にあたっては、作曲者の意図に沿って、楽器の特性、演奏者の習熟度、楽器編成、演奏の用途などによって工夫を凝らした譜面が提供されており、音楽・楽器の専門知識をもった専門性の高い事業者によって継続的に提供されてきた。
 可視的利用において現状はダウンロード、ストリーミングの通信手段によって使用料率が大別され設定されているところであるが、上記の通り専門性の高い楽譜についても、技術・通信環境の進歩、端末機器の普及によって設定当時の想定を超えてストリームでの配信においてもダウンロードとまったく同様な効果が挙げられるものとなっている。
 しかしながら現状のストリーミングの評価基準については、インタラクティブ利用規定新設の2002年から、一時使用的な利用として低く設定されたままでダウンロードの評価とは大きく乖離している。
 会員社の多くはダウンロードの評価に沿って出版楽譜のデジタル利用を計っているところであるが、料率の低廉なストリーミングを利用した「利用料無料・広告収入モデル」での楽譜提供サービスの影響により、会員社のダウンロードモデルでのビジネスに大きな影響が出ている。それらの無料サイトの中には会員社の楽譜版面を不正にアップロードするケースも起きており、対処に苦慮しているところである。また最近増えつつある同人サイトなどでも今後同様な事態が起きることも想定される。
 当協会としてもインターネットの技術、機器、インフラの発展は音楽の利用の可能性を広げ、利用の拡大に寄与していくことを期待しているところであるが、紙・デジタルのビジネスモデルに双方の特性と利用実態に即した規定への見直しが急務であると考える。
 このまま両者の料率の不均衡がそのまま放置されれば、良質で読者のニーズに沿ったバリエーション豊かで良質な楽譜を継続的に読者に提供してきた当協会会員社による楽譜販売に大きな悪影響を及ぼし、市場での製作・販売の循環が破壊され、必要な楽譜が提供できない事態になることも考えられる。
 権利者にとっても楽譜のストリーミング利用についてはダウンロード利用に比べ、分配額の少なさや正確な利用実態に即した対価の還元が期待しにくい点も指摘されるところである。
 当協会としては今後可視的利用規定の再検討にあたっては読者の利用とその効果が及ぶ範囲においてどのビジネスモデルに対しても総額で概ね同じ利用料であるべきと考える。
 また内外の有力ネット書店が参入して市場規模が一気に拡大しつつある電子書籍に関しては、出版利用に認められている書籍、雑誌における利用規定が設定されていないため会員各社では許諾を得て出版物に掲載した楽曲やその一部の版面を、電子化にあたっては削除せざるを得ない状況となっている。今後一層利用が広がる電子出版において利用が促進されるよう、出版の実態に即した規定の早期の新設が強く望まれる。

 出版販売、デジタル・サービスとも技術や社会的な進歩・変化は非常に激しくなっており、またその境界は更に見通しにくいものとなっていくことが予想される。ついては実態の把握と使用料率の見直しは実態の変化に即して関係利用者代表との間で急ぎ行われることを希望する。また貴協会とは「楽譜コピー問題協議会」を設立し、共同して楽譜不正利用についても啓発活動を行っているところであるが、インターネット上の不正利用についてもさらに関係各団体と協力して対策を行っていくことも合わせて希望する。

平成30年2月13日

(一般社)日本楽譜出版協会 著作権委員会主催
平成29年度「著作権研修会」開催のご案内

時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。

本年2月より話題を集めている音楽著作権管理事業者による音楽教室からの使用料徴収の是非は、この9月から訴訟へと発展し、ますますその行方が注目されています。加えて、教育の情報化に対応した権利制限規定の見直しなど来たる著作権法改正へ向けての動きもみられます。こうしたなか、著作権をめぐる「音楽」「教育」「演奏」といった諸問題について、今一度その基本的な理解に立ち返り、今後の実務への影響などを確認しておくことが有益であると思われます。

本研修会では、まず第1部で、我が国の著作権行政を管轄する文化庁長官官房著作権課の水田功課長に、教育の情報化をめぐる著作権法の見直しの議論についてご説明いただきます。第2部では、音楽にとって最も身近な権利である「演奏権」について、現行著作権法上の理解とその実例を弁護士の大武和夫先生と確認して参ります。続く第3部では、「音楽」「教育」「演奏」をめぐり直面する様々な事例について、ケーススタディを交えながら、皆様とご一緒に考えてまいりたいと存じます。

この機会にお一人でも多くの方々にご参加いただきたく、ご案内申し上げます。


  • テ-マ:『演奏をめぐる著作権と権利制限規定 〜音楽・教育・演奏の現場で〜』
  • ■日時:平成29年11月10日(金) 13:30~17:00
  • ■会場:日本出版クラブ会館3階「鳳凰の間」(新宿区袋町6/ TEL:03-3267-6111)
        ◎地下鉄/都営大江戸線:牛込神楽坂駅(A2出口)徒歩2分
             有楽町線、南北線:飯田橋駅(B3出口)徒歩7分
             東西線:神楽坂駅(神楽坂口)徒歩7分
        ◎JR/総武線:飯田橋駅(西口)徒歩8分
  • ■第1部:「教育の情報化に対応した権利制限規定の見直し等について」水田 功 (文化庁長官官房著作権課長)
  • ■第2部:「〈Q&A〉 著作権法における演奏とは?〜演奏権の基本とその実際〜」大武 和夫(弁護士)
  • ■第3部:「〈ケーススタディ〉 演奏したのに“演奏”じゃない? それともやっぱり“演奏”?」
        著作権委員/コメンテーター:大武 和夫(弁護士)
  • 応募申込受付収容数に達しましたので、申込受付を終了いたしました。
    たくさんのご参加応募申込ありがとうございました。

お問合せ先:
日本楽譜出版協会事務局(WEB受付窓口)

「教育利用に関する著作権等管理協議会」第10回、第11回、第12回幹事会開催概要

10月3日に第10回、10月18日に第11回、10月30日に第12回の幹事会が開催され、議事録概要をお伝えします。


拡大される予定の権利制限に対する補償金と、権利制限の範囲を超える利用に対するライセンス契約による使用料徴収との関係について、継続して議論が行われている。
実際の教育機関での利用状況および将来の見込みを把握することが必須であるとの指摘も再三行われており、幹事会とは別に行われている勉強会では、次回11月20日の会合で、この問題について関係者を招き話を聞く予定としている。
同協議会に参加している出版側委員とその他関係者による打合せが、10月30日に開催された。この議論では、補償金制度については、小中高校に対しては、比較的低廉な一律金額を設定することもやむを得ないが、大学においては、むしろライセンスによる許諾を主体として対応すべき等の意見が出された。(「書協会報」2017年11月号より)

「教育利用に関する著作権等管理協議会」第3回勉強会、第9回幹事会開催概要

9月7日に教育制度に関する勉強会(第3回)を、9月11日に第9回幹事会が開催され、議事録概要をお伝えします。


勉強会では文部科学省高等教育局から講師を招き、国公立大学および私立の学校法人における運営の実態ならびに公的支援金の流れ等についての情報共有を行った。
幹事会では、今秋の臨時国会で著作権法改正が行われるとの前提のもとで、補償金受取団体の法人設立に向けての試案が示され意見交換が行われた。(ただしその後、衆議院総選挙実施により法改正が来春の通常国会にずれ込む可能性が高くなったため、法人化のスケジュール遅らせる公算が強くなっている。)
同協議会の出版側委員の打ち合わせが9月22日に開催され、補償金の範囲を超える著作物使用に係るライセンス契約の策定に関し、意見交換を行った。大学医学部に対するライセンス契約については、医書出版協会、自然科学書協会、出版者著作権管理機構が協力して検討を進めることとし、小中高等学校とのライセンス契約については、今後の著作物利用の実態予測を含め、教科書・教材発行会社にも協力を仰ぎ、実態把握を進めていくこととした。(「書協会報」2017年10月号より)

「教育利用に関する著作権等管理協議会」第7回、第8回幹事会開催概要

7月28日に第7回幹事会、8月25日に第8回幹事会が開催され、議事録概要をお伝えします。


7月の会合では、7月14日に開催された「教育制度に関する勉強会」の報告が行われた。国公立教育施設の設置・維持費やソフト関連等の支出は主に地方交付税で賄われているため、各自治体での予算化状況に差があること等が報告された。また、秋の臨時国会で著作権法改正が行われた場合、補償金受取団体の設立、教育機関との協議を迅速に行う必要があるとの見込みが示された。
8月の会合では、秋の臨時国会での著作権法改正に向けて、規制改革推進会議の中で、補償金制度の導入が教育ICT化の障害にならないかどうかが明確でないとの議論が再燃しており、権利者団体として、意見を述べる等、対処方法についての検討が行われた。(「書協会報」2017年8・9月号より)

「教育利用に関する著作権等管理協議会」第6回幹事会開催概要

6月19日に第6回幹事会が開催され、議事録概要をお伝えします。


6月9日に文化審議会著作権分科会の道垣内正人会長宛てに「規制改革推進会議答申『高等学校の遠隔教育における著作権法上の問題の解決』について」と題する文書を送付し、過疎地・離島等の高校における、40人以下の同時双方向の遠隔授業に関して、新たに導入が予定される補償金制度の範囲内であるが、権利者としては「特別な配慮」をもって運用したいとの意思を表明した。
同協議会は、6月19日に幹事会を開催し、上記の文書を含むこの間の経緯について報告、今後の検討事項として、各レベルの教育機関における財源等についての情報共有を行うことが提案された。(「書協会報」2017年7月号より)

日本楽譜出版協会の「会報32号」が発行されました。

以下のPDFファイルをご覧ください。
|32号|

「楽譜・音楽書祭り2017[2017年5月15日〜8月31日]」

8月31日(当日消印有効)に応募は、締め切りました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。(10月中旬予定)

http://j-gakufu.com/matsuri2017/

たくさんのご応募ありがとうございました。

2017年度定期社員総会が開催されました。

5月25日15時より楽器会館会議室にて定期社員総会を開催いたしました。

事業報告では、前期は協会創設30周年という節目の年となりました。各位のご協力を得て謝恩会が盛況に執り行われたこと改めて深謝申し上げます。
事業計画の面では、今後の楽譜出版の一層の発展に不可欠なテーマであるデジタルの課題に取り組んでいくべく「ネットワーク委員会」の新設を決議いただきました。
また定款について各種の見直しと整備を行い、活動の幅を広げていくための賛助会員制度も新設されました。

また各委員会からも新しい視点から事業活動の提案がございました。課題は山積しておりますが、改選となりました理事・監事・運営委員一同、次の40周年、また50周年に向けて力を合わせてまいりますので、協会活動への引き続きのご理解・ご協力をお願いいたします。

理事長 堀家康雄


2017年5月25日(一社)日本楽譜出版協会定期社員総会における主な議事内容
【議 案】

① 選挙委員会より役員改選の結果報告
② 28年度事業報告・決算報告及び29年度事業計画案・予算案
③ 「ネットワーク委員会」の新設について
④ 定款変更に関する確認と追加承認

【報告事項】

⑤ 関連団体の動向についての報告

議案の決定事項

① 2017~2018年度の新役員は以下のようになりました。
  理事長   堀家康雄
  副理事長  下條俊幸(会計責任理事)
  副理事長  木村一幸
  理 事   片岡博久
  理 事   本橋慎弥(新任)
  監 事   鈴木廣史
  監 事   久保貴靖
② 活動報告・決算報告及び事業計画案・予算案は承認されました。
③ 音楽之友社・韓貴峰氏、フェアリー・久保貴靖氏による新委員会設立の提案が承認され参加希望社を募ることになりました。
④ 臨時総会(2016年28年10月)で承認された事項の確認及び「例会の削除」・「監事の職務に係わる事項」についての定款・選挙細則・慶弔金規定の
  一部変更に関して承認を得ました。

公益社団法人日本複写権センターに「当協会加盟社の出版物における複製権登録の件」の申し入れ書を提出いたしました。

詳細はこちら:PDFファイル:160KB

文化庁「文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ」に関する意見書

(17-03-28文化庁長官官房著作権課企画審議係にパブリックコメント提出)

1.楽譜の特殊性
多くの場合楽譜は1ページから数ページで完成されていることが多く、「35条ガイドライン」(以下ガイドライン)が定める著作物の一部の複製が可能とはいっても、実際には1ページの複製がまさにひとつの著作物全体の複製となることから、ガイドラインに即して複製した場合でもケースによっては権利侵害となる可能性が指摘される。同じ理由から同様に市販されている楽譜販売への影響が大きい。またクラシック音楽など著作権の消滅した音楽作品を使用した楽譜出版物であっても、音楽・楽器の教育・指導用途の教本の多くは、出版社の創意により指導者の考え、楽器の違い、習熟のレベル、用途などに即して目的が達成できるよう音楽教育の専門知識によって編集・創作されたものであり、いわゆる「漢字ドリル」などと同様に購入して反復練習し時間をかけて習熟することが前提となっており、複製の被害は本来市場に大きな影響を与えると懸念される。

2.教育以外での利用
学校教育の場だけでなく、社会活動全般において市民団体での合唱・合奏、さまざまなイベントなど音楽のあるところでは楽譜は様々な形で利用されており、楽譜の無断複製は大きな罪の意識もなく日常的に行われている。そのため権利者、楽譜出版者は非常に大きな影響を受けている。国はもちろん各自治体等が、公的な会場を提供する場合においては、民間の活動であっても著作権を尊重させるという強い意志のもと著作権啓蒙活動を実施してもらいたい。

3.クラブ活動
現行ガイドラインでは学校における授業以外の「クラブ活動」「課外活動」においては楽譜の複製は認められていないところであるが、実態としては教科書等に収録されている曲よりは、生徒に人気のある新しいヒット曲、話題曲を演奏したいというニーズがあり、市販されている楽譜を許可なく複製する例が後を絶たない。また学生・生徒が購入した楽譜や同好会・クラブとして購入した楽譜を人数分複製する行為も見受けられる。制度上「授業」と「クラブ活動」とがきちんと区分されているにも関わらず、充分理解されているとはいいがたい。また指導教諭からの著作権指導も適正に行われていないのが実態である。大学の同好会などでは市販されている楽譜をスキャンして、タブレット端末に保管して同好会内で共有する行為は日常的に行われている。当協会では権利者団体とともに「楽譜コピー問題協議会」を結成し、各種のコンクールや発表会、学校図書館などで楽譜の適正な教育利用について継続的に啓蒙活動を行っているが、被害の実態は非常に大きいものと考えられる。学校内における授業以外での正しい利用について教育側においても徹底を図るべきではないか。

4.撮影行為
出版物の自炊行為については判例があったところだが、スマートフォンなどデジタル機器の進化・普及により、複製機による複写より容易にかつ費用も掛けずに、撮影した出版物のコンテンツを無断で共有・送信できる環境ができている。特に楽譜は多くの場合1ページで主要な部分が表現されていることから、楽譜販売店店頭でスマートフォンにより必要な部分を無断撮影して共有するなどの迷惑行為が横行している。当協会では前述の「楽譜コピー問題協議会」や販売団体等と協議して店頭での楽譜の撮影禁止を呼びかけるポスターやステッカー表示を行ったが効果を挙げるには至っておらず、店頭での無断撮影でクレームになるケースはあとを絶たない。また購入した場合であっても楽譜を撮影して無断送信し共有することは私的利用の範囲を超えると思われるが、取り締まりも困難で特に若年層を中心に被害は甚大と推測される。

5.複製被害の影響
楽譜の場合、一つの楽曲に対して演奏の用途、楽器編成、演奏レベル、指導方法などの需要に即して良質で多様なバリエーションで出版されることが指導者、利用者にとって望ましいが、複製被害によって販売店での販売部数の減少などの影響が出ており、楽譜出版社が出版点数を絞り込むケースが多くなっている。結果的に演奏や教育などの現場で利用者の選択の幅が狭くなることが現実化しつつある。

6.ガイドラインについて
現行ガイドラインについては主として出版権利者団体によってまとめられた経緯があるものの、教育現場での判断規範として一定の効果を挙げているものとみられる。しかしながら教育に対するニーズが多様化と技術進歩のなか、判断に困る事例が多くなっていることも事実である。今後教育現場での新たなニーズをくみ取って、円滑な著作物の利用を可能にするという目的を達成できるよう、新たなガイドラインの策定にあたっては出版権利者団体のみならず、初等から高等教育、専門教育に至るまで幅広く教育関連団体が協議に参加していくことが肝要と考える。また利害の調整にあたりガイドラインの実効性を高めるためにも公的な関与も強く望まれる。

7.楽譜製作者の権利
世界的に見ても日本は、良質で多種多様な楽譜出版物が市場を通じて継続して提供されている。このことが優秀な音楽家、演奏者を育て、今日、世界的にも高く評価される我が国の音楽・楽器文化の発展の基礎になってきたともいえる。当会も参加する「文化芸術推進フォーラム」においても、実演芸術の振興が訴えられているところであるが、音楽の実演・教育を支える楽譜出版には、実際に欧米諸国では著作権者とともに楽譜出版者にも一定の権利が認められており、日本においても同様な法制度が必要である。

8.著作権教育
当協会としてはこのように学校教育における著作権教育の不徹底が、音楽に限らず今日の著作権利用市場全体の発展を妨げているのではないかと考えている。音楽についていえば、インターネット上の音楽演奏動画の多くは利用者に対しては無料で提供されており、青少年の多くに「音楽は無料で利用できるもの」という誤った認識が広がっている。このままでは「音楽は無料」という誤った認識をもった世代が正しい著作権への理解もないまま、次世代に音楽・楽器を指導、教育する世代となっていくこととなる。文化の基本でもある創作者への敬意や作品への尊重が失われていくのでは、と楽譜出版・販売業界ともに大きな懸念をもっている。

9.権利制限
「柔軟な権利制限」の議論は教育分野だけではなく、社会全体でまず「著作権の尊重」を前提に議論を行い、世界的にも評価される我が国の音楽文化における創造と流通、そして創作者への対価還元のサイクルが正しく回っていくよう、権利者・製作者への適正な保護と対価がもたらされるような制度設計を果たしたうえで、社会・教育目的の避けられない社会コストとしての権利制限に対し充分な理解が得られるよう幅広い議論が進むことを期待している。


文化庁のHPに「文化庁文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ(平成29年2月)」に関する意見募集の結果について(案)に掲載されています。
PDFファイル:485KB

日本楽譜出版協会の「会報31号」が発行されました。

以下のPDFファイルをご覧ください。
|31号|

「教育利用に関する著作権等管理協議会」に加盟しました。

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会での教育的分野における著作権の権利制限見直しに対して教育分野に関係する権利者団体が一致して適切な制度の受け皿づくりを検討するために協議会を設置。日本楽譜出版協会も参加団体として加盟した。

文化庁移転についての声明

9月2日に政府:文化庁移転協議会から発表された文化庁京都全面移転に関する方針について、
当協会では音楽著作権に関わる諸団体ならびに文化芸術推進フォーラムの参加団体とともに共同声明を発表いたしました。

音楽文化の中心は紛れもなく東京にあります。また音楽文化の発展のために著作権行政の果たす役割は大きく、
日本が2020年五輪の年に向けさらに世界へ音楽文化を発信するためには、文化・著作権行政を担う文化庁の拙速な移転方針は当協会としても
問題が多いものと考え、今後も積極的に提言してまいります。

(1)「著作権行政を中央に置くことの重要性について」:こちらのPDFファイル(117KB)をご覧ください。

(2)「文化庁移転についての声明」:こちらのPDFファイル(170KB)をご覧ください。

日本楽譜出版協会の「会報30号」が発行されました。

以下のPDFファイルをご覧ください。
30号(1.4MB)

「文化芸術推進フォーラム」からのお知らせ

当協会も参加する舞台芸術、音楽、映画等、文化芸術に関わる芸術関係団体16団体で構成する「文化芸術推進フォーラム」では『五輪の年には、文化省~みんなの声で文化省を作ろう』のキャンペーンに参加しています。

キャンペーンページはこちらキャンペーンチラシはこちら(PDF:4.2MB)キャンペーンハガキはこちら(PDF:463KB)

『6月6日は楽器の日』


(↑画像はクリックで拡大します。)

なぜ6月6日は楽器の日なの?

「芸事の稽古はじめは、数え6歳の6月6日にする」という古くからの習わしに由来し、この日から始めると芸事の上達が早いと言われています。数を指で折って数えると6の数字の時に小指が立つ形になり、「子が立つ」=縁起が良いため、とも言われています。「楽器の日」は1970年に全国楽器協会によって制定されました。ちなみに「邦楽の日」(東京邦楽器商工業協同組合が1985年制定)、また「いけばなの日」でもあります。

店頭での楽譜の無断撮影はやめましょう



(↑画像はクリックで拡大します。)

当協会の参加するカーズ(CARS:楽譜コピー問題協議会)では日本楽譜販売協会と協力して、
全国の書店・楽器店で店頭での楽譜の無断撮影防止を呼びかけています。

販売店に無断で未購入の店頭の楽譜集の中身を撮影することは、販売の妨げになるばかりか、間接的にあなたの好きな音楽の作家、アーティストの権利を侵害していることなりかねません。音楽を愛するみなさん、携帯電話はマナーを守つてご利用ください。

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