一般社団法人日本楽譜出版協会 [Japan Association of Music Publishing]

協会の主張

「楽譜出版者に固有の権利」の創設を訴える

 楽譜は音楽の原点であり、音楽の創造、演奏、上演等に欠かすことのできない大切なマテリアルであり、楽譜出版者が営む楽譜出版事業は、あらゆる音楽活動の基盤となるものです。そして、楽譜出版者は、音楽著作物の公衆への伝達と普及を図り音楽文化の所産としての役割を果たしています。

 楽譜出版物は、その表記方法が一般の書籍と異なり、音楽の内容に応じた微妙な記譜法を必要とする創作行為によるものです。
 また、その特性として、楽譜出版物は掲載する音楽著作物1曲1曲が独立していることから楽曲によって1頁から数頁しかない場合でも、作品として完成しているものが非常に多いために一般の書籍と比べて、極めて複製されやすい状況に置かれています。 

 近年、デジタル化、ネットワーク化の進展する中、楽譜出版物が違法に複製され、またインターネット上にアップロードされた海賊版等の被害が増加し、音楽の創作者及び楽譜を発行する楽譜出版者の双方にとって極めて深刻な問題になっています。
 2015年(平成27年)1月1日より施行された改正著作権法では、従来の出版権制度が見直され、電子書籍に対応した出版権も整備された事によって海賊版対策としても一定の効果はあったものの、本改正著作権法は、楽譜出版物の特性については何ら考慮されたものになっていませんので、クラシック音楽をはじめとする著作権の消滅している作品及びそれ以外の分野においても、楽譜出版者が自ら編集、制作した楽譜出版物の中で編集著作物以外の楽譜出版物等、法的保護を得られない(出版権を設定できない)楽譜出版物が市場の相当数を占めているため、楽譜出版者にとっては依然として問題は解決されません。

 今回の出版権制度の見直しに伴う法改正は、1990年(平成2年)6月に著作権審議会第8小委員会が「出版者の保護関係」と題した報告書で「出版者に固有の権利を著作権法上認めて保護する必要がある」と明記し、結論づけて以来の改正ですが、出版権を設定できない楽譜出版物に関しては、出版者が海賊版等の侵害行為に対する法的手段の行使も、他人に対する当該著作物の複製又は公衆送信を許諾することに関しても実効性の伴わないものになっています。

 楽譜出版者は、再度当時の著作権審議会の報告書の趣旨に照らして、音楽著作物の公衆への伝達に楽譜出版者が果たしている重要な役割を評価し、欧米諸国で実行しているように楽譜出版物の複製及び複製物のインターネット送信等に対応した必要な範囲内で「楽譜出版者に固有の権利」の付与を認めることが我が国の音楽文化の発展に資するものであると確信しています。

 「楽譜出版者に固有の権利」の法制化がすべての楽譜出版者にとって強く望まれます。
 当協会は、今後も、この権利の早期創設をめざして主張を続けてまいります。

平成28年1月7日

会員社の楽譜出版物に対する剽窃行為について

一般社団法人日本楽譜出版協会ではかねてより楽譜の正しい利用について幅広く啓蒙活動を続けてまいりました。

さて、当協会が調査したところでは当協会の複数の会員社が出版したバンドスコアがそのまま複製され、一部の無料バンドスコア配信サイトで大量かつ継続的に公開されている事態が生じていると考えており、非常に憂慮しております。この点、最も被害の大きな会員社が、無料バンドスコア配信サイト最大手と見られる株式会社GLNETに対し、同会員社のバンドスコア数百点を無断で複製して公開したと主張して、本年6月同社を提訴する事態となっております。

そもそもポピュラー音楽、特にバンドスコアのジャンルにおいては出版許諾にあたって、CD等で公表された音源に即した原譜が権利者等から出版元に提示されることはなく、そのため各出版社の専門スタッフが音源を耳で聞いて採譜を行います。従って同じ楽曲から採譜された楽譜であっても、出版される楽譜には記譜や表記におのずと差異が出てきます。もちろん同じ音源から採譜している場合はコードネームやメロディなどが相当程度一致することは当然考えられます。しかし各楽器パートの細部にわたって記譜・表記が一曲まるまる完全一致することや、まして数百曲単位で酷似する可能性は意図的なものでなければあり得ないというのが、提訴に至った会員社の主張です。これは一出版元に限らず採譜者、校正者、浄書者など楽譜編纂に関わる専門家の一致した見解といえるでしょう。

同社の配信サイトは著作権管理団体と契約し掲載楽曲の著作権使用料を支払っていることから、作詞家・作曲家等の著作権を侵害しない適法なサービスであるという立場をとっています。また広告収入による事業モデルをとっており、ユーザーには無料で楽譜を公開していることから若者を中心に人気の高いサイトです。

しかしながら専門知識を持った出版社のスタッフが企画・編集し、コストをかけて出版された楽譜をそのまま複製し、みずからは譜面制作に費用をかけることなく自らのサイトで無料公開してユーザーを集めて広告収入を得ることが、もし適法な商行為として許されるとすると、今後リスクを冒して楽曲を新規に譜面化する出版事業者はどこにもいなくなります。

つまり演奏したい曲の楽譜が出版されなくなるだけでなく、対価を払っても購入したい良質な楽譜まで次第に市場からなくなってしまうことになります。結果として権利者である音楽の作り手にも、演奏者や音楽指導者にも悪影響が及ぶことになります。

当協会では会員社の総意として、同社の行為は民法709条に規定する不法行為にほかならないと考えており、会員社の出版物から不法に譜面内容を剽窃した楽譜を同社のサイトから即座に削除することを要求いたします。また当該会員社への謝罪やこれまで与えてきた経済的な被害についても誠意をもって対処することを望みます。

当協会では、このような不法行為を無くしていくためには、欧州諸国にあるように楽譜製作者にも不法な複製行為に対抗できる法的権利を付与することが非常に重要と主張してきましたが、デジタル技術が普及した今こそ、権利付与は急務であると考えます。(注)

我々楽譜出版に携わるものは作家の同一性保持権に充分留意しながら、作家や演奏家が音楽に込めた思いを採譜、校正、浄書、造本などにさまざまな工夫を凝らし、ユーザーに使いやすいようにと譜面制作を行っています。会員社をはじめとする楽譜出版社が互いに敬意を払い、公正に競い合ってきたことで良質で信頼に足る楽譜が数多く出版され、日本の音楽文化に貢献してきたとの誇りをもっています。

当協会は楽譜事業を通じて、音楽を演奏する楽しさを作家・演奏者・音楽指導者など音楽を愛するみなさまと共有し、今後も日本の音楽文化発展に貢献したいと考えています。

関係するみなさまのご理解、ご支援をお願いいたします。

2018年7月5日

一般社団法人日本楽譜出版協会
理事長 堀家 康雄

(注)当協会ホームページ 協会の主張「楽譜出版者に固有の権利」の創設を訴える(平成28年1月7日)参照

「楽譜出版物等への消費税軽減税率適用の要望書」を文化芸術推進フォーラムを通じて、政府系・与党に提出しました。

出版文化・音楽文化(楽譜・音楽書出版物)への軽減税率適用を求めます。(2015/10/01)
要望書はこちら(PDF)からダウンロードできます。

楽譜出版社の役割と固有の権利について

2012年2月 文部科学省 文化庁著作権課に提出。
こちらからPDFファイル(3.9MB)をダウンロードできます。

楽譜ができるまで

 楽譜を読み音楽にすること、音楽で人の心に感動を呼びおこすこと、その行為の中には膨大な精神の活動が詰まっています。曲が生まれ、楽譜となって世に送られるまでの過程にも、同じように多くの作業が係わっています。

 著者の意図を正確に反映すること。読みやすく使いやすい譜面を作ること。

 私たち出版社にとって、それはもちろん商品を製造するという行為に他なりませんが、それだけではなく、著者・出版社・ユーザーをひとつに結ぶ、音楽文化の源としての誇りと志とを詰め込む作業でもあるのです。その様子をちょっと覗いてみてください。

→ リーフレット-1(PDF):更新版作成中
→ リーフレット-2(PDF):更新版作成中


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