一般社団法人日本楽譜出版協会 [Japan Association of Music Publishing]

よくあるご質問

楽譜の利用や著作権、版面権などについて、お問い合わせいただいた様々な質問についてお答えします。

Q1.コピーすることがなぜ問題なのですか。

A. コピーすることそのものが問題なのではありません。問題なのは、出版社に無断でするコピー、楽譜の購入に代えてするコピーなどが問題なのです。その理由は、楽譜出版社は出版契約により、作詞家や作曲家からその作品を出版(複製)する(譲渡契約による場合は、出版(複製)する権利のほか、演奏したり、録音したりする権利、すなわち著作権の)すべての権利を譲り受けています。したがって、出版社に無断でコピーをすることは、出版社のもつ複製権を侵すことになるからです。


Q2.作品の中味に著作権がない場合はどうですか。

A. 確かに現行の著作権法ではこれに対する規定はありません。しかし、すでに平成2年、著作権審議会は出版者の出版行為がいかに重要なものであり、具体的には、出版者が作成した版面は法的にも保護されるべきものであると報告しています。わたくしたちは「版面権」の正当性とその保護のための法制化を早期に実現して欲しいと主張を続けています。したがって、作品の中身に著作権があるか否かにかかわらず、あらゆる音楽活動の源でもある楽譜の版面を、その製作者である出版社に無断で複製することは適当でないと考えます。出版社の出版活動の安定と活発化を確保することは、音楽活動全般の発展のためにも必要だと考えます。


Q3.入手できない楽譜はどうしたらよいのですか。

A. 出版社の都合により必要な楽譜の供給ができない場合、その楽譜の発行元からコピー・サービスが受けられる場合があります。それは次の三つの場合に限られます。
・「休版中で重版時期が未定」の場合
・「版元在庫切れ」で、重版仕上がりが使用の期日に間に合わない場合
・「絶版」の場合
ただし、これらはその必要な作品の著作権がその出版社自身のものでない場合は、コピー・サービスはできません。また、「絶版」の理由には、それが著作者の意思によるものである場合もあり、そのような場合にはコピーによる楽譜のの供給は受けられません。


Q4.コピー楽譜の供給はどこで、どのようにして受けることができますか。

A. 入手を希望される楽譜の発行元(出版社)に直接お問い合わせください。出版社は、お問い合わせの内容が前項の条件のいずれかに該当するか否かを確認のうえ、必要な手続きや料金をご案内します。


Q5.料金はいくら掛かりますか。

A. 出版物の内容や形態により料金は異なりますので一定の料金体系をご案内することはできませんが、いずれにせよ著作物使用料相当額(印税分)、コピーの実費、手数料ならびに消費税額が加算されます。詳細は各社にご照会ください。


Q6.出版社に連絡する時間がない程の緊急を要する場合には、どうしたらよいでしょうか。

A. 演奏会の直前に楽譜を紛失したり破損させてしまったりした場合で、もはやその楽譜を再度購入しに行く時間もなく、また、出版社の営業時間も終了してしまっているようなとき、出版社への申請なしにコピーすることは認められます。ただし、演奏会後ただちにその楽譜を購入し、コピーした楽譜は破棄しなければなりません。


Q7.実際の演奏に際し、「めくり」の都合上、コピーしたページを使用したいのですが。

A. 演奏者がすでにその楽譜を購入していることが前提となりますが、該当する必要なページに限り出版社に申請することなくコピーして使用することは認められます。ただし、その場合、一楽章全体とか、一曲全部をコピーするようなことは認められません。


Q8.「Q6」と「Q7」の質問と同様ですが、その楽譜がレンタル楽譜である場合はどうでしょうか。

A. それらについては答えも同じです。ただ、いずれの場合でも、それがレンタル楽譜であった場合には、演奏終了後、コピーした楽譜を破棄したり保管したりすることなく、他のレンタル楽譜と共に出版社へ返却しなければなりません。


Q9.オーケストラのレンタル楽譜の場合、特に弦楽器パートに問題があります。それは他の楽団が使用したボーイングやフィンガリングと自分たちのものが異なるため、毎回それを書き直さなければなりません。

A. ライブラリアンにとって、この書き直しの作業は避けられませんが、ある特定の楽曲について、将来も再演する可能性が充分に考えられる場合、弦楽器パートに限り、記録保存の目的で、各パート1部ずつを出版社に申請することなくコピーし保管することは認められます。ただし、そのコピーを複数再製して再演に用いることは認められません。なお、ごく頻繁に再演される楽曲のレンタル楽譜一式については、「パーマネント・ローン」というシステムもありますので、出版社に相談されるとよいでしょう。


Q10.コピーが認められない場合とは、どのような場合ですか。

A. 著作権法の原則と同様に、著作者や出版社が本来ならば得られるはずの利益が、無断コピーされることにより、不当に損なわれるような場合には認められません。具体的には以下のような場合がそれに該当します。
・楽譜の購入やレンタル楽譜の借入を避けるために行うコピー
・「演奏用」または「研究用」の名目で借入したレンタル楽譜のコピー
・「楽章全体」または「楽曲全部」のコピー
・自分の好きな曲を集めた「名曲集」的なファイルを作成するために複数の出版物からするコピー
・使い切りの一回使用を目的とした消耗品として発行・販売されているワークブック、指導書、教則本、練習帳、試験の答案用紙またはそれに準じた諸教材などのコピー
・出版社からコピー・サービスを受けた楽譜またはQ6~Q9に該当する方法でコピーした楽譜を再製して他人に譲ったり、貸したり、売ったりする目的でするコピー


Q11.デジタル化・ネットワーク化の時代にあってマルチメディアやインターネット等への使用を目的としたデジタル・コピーについての対応はどのようになっていますか。

A. このガイドが対象とする問題は複写・複製、すなわちフォトコピーへの対応についてご案内しています。しかし、ご指摘の通り、現在はすでにデジタル・コピーとそれに伴う改変、編集、送受信などが自由に行えるだけの技術的な進歩を遂げており、わたくしたちは益々「版面権」の重要さを痛感しています。法律は徐々に整備されつつありますが、管理システムが整っていないのが現状です。具体的な問題がある場合には、日本楽譜出版協会著作権委員会までお問い合わせください。


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